ACM の最も重要な機能は、オーディオ データの圧縮と解凍です。オーディオを圧縮して、サウンドの表現に必要なデータ量を削減することで、サウンド ファイルのサイズは小さくなります。ただし、サウンド ファイルでオーディオ圧縮を使用する場合は次のような欠点もあります。
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多くのオーディオ圧縮アルゴリズムでは、音質が低下します。サウンドに含まれている情報が圧縮によって失われることから、損失圧縮と呼ばれます。サウンドの劣化の程度は、圧縮アルゴリズムによって異なります。
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オーディオ圧縮は、非圧縮データに比べて処理に必要な時間が長くなります。処理時間は、圧縮アルゴリズムやハードウェア設定によって異なります。通常、圧縮ファイルを開いたり保存したりする場合は、非圧縮ファイルに比べて長い時間がかかります。
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圧縮ファイルは非圧縮ファイルほど自由に受け渡しができません。ファイルを圧縮形式で配布する場合は、配布先のユーザーがその形式のファイルを使用できるかどうかを確認する必要があります。また、すべてのオーディオ ソフトウェアで圧縮 .wav ファイルを使用できるとは限らないため、Sound Forge ソフトウェア以外に他のプログラムを使用しなければならないなどの不便な点もあります。
Sound Forge ソフトウェアでは、互換性のある ACM ドライバがインストールされて有効になっていれば、あらゆる種類の圧縮 .wav ファイルを開くことができます。圧縮 .wav ファイル用の互換性のある ACM ドライバがない場合は、ファイルを開こうとするとメッセージが表示されます。
圧縮 .wav ファイルを保存するには、[名前を付けて保存]ダイアログ ボックスの[形式]ドロップダウン リストから圧縮アルゴリズムを選択します。ファイルをいったん圧縮形式で保存すれば、以降は常に、選択された圧縮アルゴリズムを使用して変更が保存されるので、保存操作のたびに圧縮形式を選択する必要はありません。ただし、[名前を付けて保存]ダイアログ ボックスで圧縮形式を変更したり、非圧縮形式に戻したりすることもできます。
Microsoft Sound Mapper では、サウンド カードで直接サポートされていないオーディオ データ形式も再生/録音できます。Sound Forge ソフトウェアで Sound Mapper による再生や録音を行うには、[ユーザー設定]ダイアログ ボックスの[オーディオ]タブを使用します。
Sound Mapper での非圧縮ファイルの使用
非圧縮ファイルには Sound Mapper を使用すると便利です。サポートされている形式にサウンドを変換しなくても、試聴することができます。
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例えば、22,257 Hz などの非標準サンプル レートで録音されたサウンド ファイルがあり、サウンド カードでサポートされているサンプル レートの近似値が 22,050 Hz である場合は通常、そのサウンド ファイルを再生することはできません。この場合、再生する前にファイルの サンプル レートを 22,050 Hz に変更する必要があります。ただし、(リサンプリングせずに)サンプル レートを変更すると、サウンドが低いピッチで再生される原因となります。Sound Mapper を使用すれば、このようなサウンド ファイルもリサンプリングせずに正しく再生できます。Sound Mapper では、サウンドは最適な形式にマッピングされ、リアルタイムでリサンプリングが実行されます。
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Sound Mapper を使用すると、8 ビット サウンド カードでの 16/24 ビット サウンドの再生、モノラル サウンド カードでのステレオ サウンドの再生、およびモノラル専用サウンド カードでのステレオ ファイルの録音が可能です。ただし、Sound Mapper を使用してモノラルのソースをステレオで録音しても、サウンド カードのモノラル入力が両方のチャンネルに単に複製されるだけで、サウンド カードによって提供される以上のものは作成できません。
Sound Mapper での圧縮ファイルの使用
Sound Mapper では、圧縮ファイルを直接サポートしていないサウンド カードの場合でも、圧縮サウンド ファイルを再生できるので(場合によっては録音も可)、Microsoft ADPCM または DSP Group の TrueSpeech で圧縮されたサウンド ファイルを解凍せずにそのまま再生できます。
サウンド データの圧縮はプロセッサを集中的に使用する可能性があるため、Sound Mapper では圧縮サウンド ファイルを常に録音できるとは限りません。処理に必要な時間は、圧縮アルゴリズムや実行方法によって異なります。サウンド データの解凍にかかる時間は、ほとんどの場合、同じサウンド データの圧縮に要する時間より短くなります。
Sound Forge ソフトウェアでは、圧縮サウンド ファイルをそのまま再生/録音することはありません。サウンド ファイルを開いたり保存するときに、すべての圧縮/解凍処理が行なわれます。Sound Forge ソフトウェアでは、圧縮サウンド ファイルをリアルタイムでは実現不可能な最高の音質で保存します。Sound Forge ソフトウェアで保存された圧縮サウンド ファイルは、オーディオ圧縮によって録音されたファイルに比べて一般に音質が良くなります。
注:
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適切な ACM ドライバがインストールされている場合は、[開く]ダイアログ ボックスで圧縮 .wav ファイルをプレビューできます。ただし、プレビューを行うには、デフォルトの再生デバイスに Sound Mapper を設定しておく必要があります。
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[名前を付けて保存]ダイアログ ボックスで非圧縮オーディオ データを圧縮形式で保存する場合は、ファイルを閉じていったん保存してから、もう一度開くようにしてください。Sound Forge ソフトウェアでは圧縮と解凍は保存およびロード中に行われるため、ファイルを保存して再ロードするまで圧縮サウンド ファイルを試聴することはできません。
Sound Forge と Microsoft Audio Compression Manager |
Microsoft Audio Compression Manager(ACM)は、Windows におけるオーディオ圧縮の標準インターフェイスです。このインターフェイスによって、Sound Forge ソフトウェアなどのアプリケーションでは、他社から提供される圧縮アルゴリズムを使用できるようになります。
Sound Forge ソフトウェアでは、ACMを使用したオーディオ圧縮を完全にサポートしているので、あらゆる ACM 互換圧縮を使用できます。これは、新しい操作を習得しなくても、簡単に使用できます。Sound Forge ソフトウェアでは、圧縮 .wav ファイルを透過的に開き、[名前を付けて保存]ダイアログ ボックスで.wav ファイルに使用可能なすべての圧縮形式を表示します。
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オーディオ データの圧縮と解凍
ハードウェアでサポートされていないオーディオ ファイルの透過的な再生と録音